ベルサイユのばら

作品名:ベルサイユのばら(べるさいゆのばら)
種類:漫画
製作:日本
著者:池田 理代子(いけだりよこ)

初めてこの作品を読んだ時は、頭が痛くなってしまいました。

それくらい内容の濃い作品です。

ジャルジェ伯爵家の末の娘オスカルは、軍人である父親によって男として育てられ、フランスの王家につかえる近衛兵となる。そして、オーストリアからベルサイユ宮殿にやってきた王太子妃のマリー・アントワネットなどとともにフランスの歴史の渦に巻き込まれていく。
マリー・アントワネットは、ブルボン王朝の最後の王であるルイ16世の妃なので、華やかな暮らしの末にフランス市民によるフランス革命を経験せざるをえないわけです。

・・・という風に、この作品によってフランスの歴史を学ぶこともできるわけですが、それよりもやはりこの作品の一番の魅力はその世界観ではないでしょうか。

例えば、この作品の舞台である18世紀というのは、王侯貴族であればかつらを着けるのが当たり前だったそうなのですが、オスカルは貴族ながらいつもブロンドの髪ひるがえしひるがえし、要するに地毛のままなのです。

髪の毛とかつらを始めとして、登場人物が身につけている衣服にも同じ事が言えると思います。服飾文化史の資料などいくらでも手に入っただろうに、着ているドレスはロココのおしゃれなそれというよりひたすら少女趣味のひらひらしたお姫様のドレス。そして男性の服はそれなり。言い換えれば適当。それらは、歴史を描く、真実を描こうとすると同時に少女漫画としてのものの価値観を最後まで保ち続けたという事を意味すると思います。

史実よりも大事にされているものがこの作品にはあり、それこそが物語のドラマ性を強く引っぱる魅力となっています。

そういうわけで、夢中になれます。
実在の人物もたくさん出てくるので、”本当はどんなひとだったのか?”というお楽しみもついてきます。

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